ストールやコートなどカシミヤ製品の寿命をのばすためのコツ!【ケアして大切に使おう】
高品質で大切に扱いたいカシミヤストールですが、何年もずっと愛用していると、だんだんストールがへたってきたと感じませんか?
綺麗だった毛並みもいつの間にかぐったりとして、カシミヤ特有の光沢すらなくなってしまっているかもしれません。
カシミヤストールは一体どれくらいで寿命を迎えるのでしょうか?
出来るだけ長持ちさせられるコツと一緒に紹介していきます。
1.カシミヤストールやコートはどれくらいで寿命を迎える?
カシミヤのコートやストールがどれくらいの状態になったら寿命だと感じるかには個人差がありますが、毛質がくったりしてきたら寿命だといえます。
型崩れしてしまい、本来の美しく光っているような毛並みがなくなり、毛があちこちの方向を向いたりしていると、着用してもカシミヤの良さを発揮できません。
もちろん、保管状況やどのようにコートやストールを取り扱っていたかによって状態は変わってくるため、寿命を迎えるのにも個人差があるでしょう。
カシミヤは繊細なため、コートやストールを大切に扱っているつもりでも、手入れをしていないと早く寿命を迎えてしまいます。
正しく手入れし、保管することで何十年と愛用している人も多いのです。
カシミヤ製品の寿命を伸ばすために手入れが必要な理由
カシミヤは上質な素材で、本来は長く使えるものです。上手に使えばコートの寿命は10年以上にできるでしょう。
ただ、カシミヤは他の天然素材や化学繊維に比べて特定の弱点があるため、長く使うにはカシミヤならではの使用方法や、日常のお手入れが必要なのです。
毛玉や毛羽立ちができやすいから
カシミヤは摩擦によって毛玉(ピリング)や毛羽立ちができやすいデリケートな素材です。
他の素材よりも細く短い繊維を、より多く撚り合わせて一本の糸にしているため、繊維の端部(糸端)が多く含まれています。
この糸端が摩擦によって浮き上がることで毛羽立ち、絡み合って毛玉となるのです。
そのため摩擦を起こすような使い方をできるだけ避けて、毛羽立ちはブラッシングで整えたり、毛玉を取り除いたりという手入れをする必要があります。
水や虫害に弱いから
カシミヤは水に濡れると毛並みが悪くなり、光沢も失われます。布で無造作に拭き取ると繊維が荒れるため注意が必要です。
水に濡れた部分はシミになり、そこに虫がついて虫食いの原因になります。
濡れたり汚れたりしたカシミヤコートなどを、手入れをせずに保管すると虫食いやカビが発生します。
雨の日には着ないようにし、使用後は後述のようなケアや保管方法で大切に管理しましょう。
非常にデリケートな繊維のため
カシミヤの表面はうろこ状のキューティクルで覆われています。
カシミヤのキューティクルは細かく、皮膚に対する刺激も少ないため肌触りがよいのです。
また、キューティクルは開閉することで水分を保持したり発散させたりする機能を持っていて、とくにカシミヤのものは表面が滑らかで光の反射が美しいという特性があります。
このようなコートやストールに使用するのに好都合な特性は、非常にデリケートな繊維であるからこそのものです。細やかなケアをしないと、機能や美しさが失われてしまいます。
扱い方次第で型崩れしてしまう可能性があるから
カシミヤは吸湿性があるとともに、適度な湿度を保つ性質があります。
しかし、カシミヤコートを濡れたまま放置するとカビや虫食いが発生しやすいため、濡らさないのが一番の方法です。
また、着用すると一時的に形状が変化しますが、着用を続けると形状が変わって型崩れをしてしまいます。
毎日着用することは避け、2日から数日に1回までの頻度で使用することによって、休ませる期間を多くすることが大切です。
カシミヤが自然に元の形に戻れるようにケアする必要があります。
2.正しいケアで、カシミヤストールの寿命を延ばそう!
カシミヤストールを長く綺麗な状態で使用するには、日頃からの正しいケアが大切です。
正しいケア方法を知って、カシミヤストールの寿命を延ばしましょう。
これから紹介する方法は、普段カシミヤストールを着用する時にできるケアなので、是非試してください。
①毎日同じカシミヤストールを身に付けない
薄くて軽いカシミヤストールだからこそ、肌寒い日には活躍します。
しかし、毎日連続で着用すると、カシミヤストールにも毛玉や型崩れが発生してしまうのです。
お気に入りであることは分かりますが、やはり一日おきにするなどローテーションを組んで、カシミヤストールを休ませてあげる時間が必用です。
頻繁に身に付けているカシミヤストールであれば、休ませるタイミングで日陰にて風通ししてあげると、臭いや湿気を飛ばすことができます。
②水はすぐに拭き取る
カシミヤストールを着用していて、雨に濡れてしまったりすることもあるでしょう。
そういった場合には、柔らかいタオルなどですぐに拭き取るようにしてください。
出先であっても拭き取ることさえ先にしていれば、後から手入れしやすくなります。
カシミヤストールは濡れたままの状態にしておくと、虫食いやカビなどが発生してしまう可能性があります。
また、濡れて毛があちこち向いた状態のまま乾いてしまうと、元に戻すことが難しいのです。
タオルで優しく拭き取って、毛並みを整えてから乾かすようにしましょう。
③着用後は、しっかり手入れする
カシミヤストールを着用して外出先から戻ってきたら、まずホコリやゴミを落としましょう。
食べ物カスなどがそのままあると虫食いの原因になりますし、一日着用するとホコリや花粉などがたくさん付いています。
優しく綺麗に払い落とし、一日着用していたことで吸ってしまった湿気を飛ばせるようにハンガーなどに広めにかけて風を通します。
この時に、日光が直接当たってしまうと日焼けする可能性があるので、必ず日陰で行ってください。
こうした手入れを毎日するだけでもカシミヤストールは長持ちします。
④毛玉や毛羽立ちができたときには適切な対処を
カシミヤのコートやストールに毛玉ができたときは、引きちぎらないようにし、ハサミなどで切り取るのがよい方法です。毛玉取り機を使用して、軽く丁寧に表面をなでるとうまく取れます。
毛玉を取ったからといって直ちに生地が薄くなることはないため、心配しなくてもよいでしょう。
コートなどの使用後には、軽くブラッシングをして毛羽立ちを整えます。
ブラシは硬いものを避け、山羊毛などの優しく滑らかなものを使用することをお勧めします。
⑤汚れがついてしまったときの対処法
汗などの水分や汚れは、変色や虫食いの原因になるためすぐに拭き取るのがよいでしょう。
柔らかな布に薄めた中性洗剤をつけて拭き取り、さらに軽く水拭きをしてから陰干しをします。乾いたらブラッシングをお忘れなく。
化粧汚れなどの油分がついた場合は、柔らかい布にベンジンを染ませて、トントンと叩くようにして汚れを除去します。
自分で対処してもうまくいかない場合は、クリーニング店に相談しましょう。早めの対処が肝心です。
3.スペシャルケアで、より綺麗な状態へ
カシミヤストールの日々の手入れ方法を紹介してきましたが、時折スペシャルケアをしてあげるだけでも更に綺麗な状態をずっと保てるようになります。
高級かつ高品質なカシミヤストールだからこそ、購入した時の状態をなるべく長く保ちたいものです。
①ブラッシングする
洋服ブラシでコートやニットのケアをする人は多いと思いますが、カシミヤストールもブラッシングすることで綺麗な状態を作ることができます。
ただし、繊細な毛なので毎日ブラッシングするのではなく、気になった時にだけブラッシングするようにしましょう。
ブラッシングに使用するブラシは、天然柔毛の馬毛ブラシがおすすめです。
豚毛ブラシもありますが、馬毛の方がより柔らかくなっています。
ブラシによってストールの繊維の隙間から汚れや花粉を掻きだすことができ、繊維の絡まりをほどいて毛玉を防止することができます。
また、ブラッシングすることで、毛の間に空気が通るのでカシミヤストールのふんわり感と光沢を取り戻すことができるのです。
②自宅やお店でクリーニングをする
カシミヤのコートなどの普段のお手入れは、着用後に軽くブラッシングして陰干しするのが基本です。
汚れが目立つときや長期保管する前などに、信頼できるクリーニング店に依頼することをお勧めします。
- カシミヤのコート(ストール)であること
- ブランドタグを傷つけないようにすること
を伝えて、カシミヤ用のクリーニングをしてもらうように依頼しましょう。
自宅でクリーニングする場合には、均一な手洗いと陰干しが必要です。
カシミヤに適した洗剤を選び、冷たい水に浸すような方法(こすらない)をとれば、自宅でも洗濯は可能でしょう。
ただし、水温や洗剤の濃度、干し方によっては失敗する可能性もあります。気にしないアイテムで試してみるのが無難です。
③シーズンオフには適切な保管を
カシミヤストールをシーズンオフで保管する場合、保管前には必ずクリーニングや自宅で洗うなどする必要があります。
保管前にしっかり汚れを落とし、綺麗な状態にしてから保管しなくては虫食いや変色、型崩れなどを引き起こします。
また、保管する際には防虫剤や除湿剤を必ず一緒のケースに入れるようにしてください。
カシミヤは虫達の好物なので、虫食いが発生しやすい素材です。
保管中に虫食いに遭ってしまったということのないように、密閉性のあるケースに防虫剤と一緒に入れるようにしましょう。
カシミヤ製品が持つメリットを紹介
カシミヤならではのメリットを紹介します。
カシミヤのコートが高く評価されるのは、カシミヤの持つ独特の特性があるからです。
天然素材ならではのメリットを活かしてケアを怠らなければ、寿命を長くでき、持つ喜びや愛着が生まれるでしょう。
軽く、肌触りがよい
カシミヤ繊維の直径は14〜16マイクロメートルで、羊毛が20マイクロメートル前後、人の髪の毛は50マイクロメートル以上であることから、比較的細い繊維だといえるでしょう。
このように、カシミヤは繊維が細く軽いのが特長で、空気や水分をしっかり保持する特性を持っています。
また、他の繊維に比べてキューティクルが滑らかで突起が少なく、ちくちくしないため肌触りが良好という特長もあります。
このような特長が、暖かさや吸湿性、独特の着心地を生んでいるのです。
暖かく、蒸れにくい
カシミヤの生地は細い繊維を重ねて作られているため、繊維の隙間に空気を多く取り入れられます。
空気は熱伝導率が低く保温性が高いため、カシミヤは暖かいという特性を持つのです。
空気と同様に水分の吸収と放出もするため、保湿性や調湿性がよいといえます。
体から出る水分を受け取ってくれることで蒸れにくいという性質があります。
適度な湿度を保ってくれる素材のため、肌触りだけではない着心地のよさが感じられるのです。
コートやストールの素材として非常に魅力的です。
正しく扱えば型崩れしにくい
カシミヤは湿気の吸収と放出をしながら、形を整えようとする自然の力を持っています。
コートやストールを着用して変形しても、伸縮性によって体になじみ、着用後は元に戻ろうとします。
このような特性があることから、連続着用をすると元に戻れる機会がなくなって型崩れを起こす可能性があるのです。
着用後は数日休ませるなど、正しい着用を心がければ型崩れを避けられ、寿命を長く保てます。
毎日使いたい場合は、2〜3着用意して着替えるのがよいでしょう。
独特の光沢をもち、高級感のある見た目をしている
前述のとおり、カシミヤの表面はうろこ状のキューティクルで覆われていて表面がなめらかです。このため、光が乱反射せずまっすぐに反射します。
さらに天然の油脂に覆われていることと相まって、美しい光沢や高級感のある色合いを醸し出します。
カシミヤの光沢は独特の性質を持ったキューティクルによるものです。コートやストールの風合いを維持するためには、優しい取り扱いと着用後のケアが欠かせません。
4.まとめ
カシミヤストールの寿命を長くするための手入れ方法を紹介してきましたが、特別に難しい手入れではありません。
日頃からの手入れや、時折行うケアが大切なのです。
大切なカシミヤストールだからこそ、正しい手入れで少しでも寿命を長くできるようにしましょう。
監修者
林 絵理子(スタイリスト)
2009年5月~Styling Office seed 小谷 晃司氏 師事
2011年11月~拠点を東京にも設けフリーランスで活動開始(大阪に関してはseed所属)
2015年4月~Styling Office seedより独立
2017年11月~brickを設立
2022年11月~brick stock room増床
(同ビル602)